大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

浦和地方裁判所 昭和37年(ソ)1号 決定

抗告人(調停被申立人) 小林七郎

相手方(調停申立人) 佐藤茂平

主文

本件抗告を却下する。

抗告費用は抗告人の負担とする。

理由

本件抗告理由の要旨は、右当事者間の本庄簡易裁判所昭和三七年(ノ)第三号通行権確認等調停事件について、調停申立人佐藤茂平から民事調停法第一二条に基く調停前の措置を求める旨の申立(同裁判所昭和三七年(サ)第六号)に対し同裁判所民事一般調停委員会は、同年三月二六日調停前の措置命令を発したのであるが、右命令は事実の調査をせず右調停申立人の一方的申立に基きなされたのみならず、その内容は同裁判所昭和三六年(ノ)第一三号門所有権確認調停事件(申立人諸井興治、相手方佐藤茂平、利害関係人小林七郎)につき昭和三六年六月一日成立した調停の条項に違反するものであつて、違法の命令であるから、右命令の取消を求めるため本件即時抗告に及ぶ、というにある。

よつて按ずるに、民事調停法第二一条が調停手続における裁判に対しては最高裁判所の定めるところにより即時抗告をすることができる旨を規定した趣旨は、簡易迅速な処理を建前とする調停手続上の裁判については特に最高裁判所において定める場合に限り即時抗告のみを許し普通抗告はこれを許さない趣旨に出たものと解するのが相当であるから、民事調停規則において即時抗告を許す旨の定のない民事調停法第一二条の措置命令に対しては、即時抗告は勿論、普通抗告もなし得ないものというべきである。

よつて民事調停法第二二条、非訟事件手続法第二五条、民事訴訟法第四一四条、第三八三条を適用し、本件抗告を却下し、抗告費用の負担につき、民事訴訟法第八九条を適用して、主文のとおり決定する。

(裁判官 岡咲恕一 吉村弘義 篠田省二)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例